あおぞら銀行
公益通報者への不当労働行為

あおぞら銀行労務政策是正要求
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2021/07/26 東京都労働委員会 第2回調査

交渉内容

  • (1)組合からは、準備書面(2)を提出。
  • (2)銀行からは、前回5月27日に労働委員会から指摘された、5年前の懲戒事項についての説明は詳細に書かれながら2021年3月期の2階級降格の説明が不十分ではないかの指摘に対して、何らの回答がありませんでした。今回組合からの準備書面2でもって、2021年3月期の評価の問題性等の指摘も踏まえて、労働委員会から銀行に対して、前回指摘事項と合わせて準備書面の提出を指示されました。
  • (3)組合から労働委員会に対して、銀行へ降格規定の開示要請を求めましたが、労働委員会から文書にて、銀行への開示要求書の提出を求められました。銀行ルールに反する一挙2階級降格の説明をどのように説明をしてくるか待ちたいと思います。

今後の組合の対応

  • (1)この間銀行が昨年12月以降、団交をすることなく2月の降格通告3月の不当な人事異動通告、4月の新人事制度に基づく人事発令などを議題とした団体交渉の早期実現要求を続けます。組合としては、重要な協議であり、対面団交を要求していますが、銀行は、行員出勤率が5割以上であり、社内で50名近くの集合研修を実施しておきながら、団交だけはコロナ禍を理由にネット団交しか応じないとの態度で、協議には応じるといいながら、交渉日程を入れようとしていません。
  • (2)あわせて、この間の銀行の組合団交要求拒否の不当性をまとめた準備書面の作成予定です。
  • (3)4月から行われているIさんの本店での同僚との接触を認めない不当な一人部屋勤務の改善実現を求めていきます。
  • (4)職場の仲間の声も、聴きながら労働組合としてあおぞら銀行の職場改善の取り組みを進めます。

引き続きご支援をお願いします。

準備書面(2)-抜粋-

  • 令和3年(不)第23号
  • 申 立 人 全国金融産業労働組合
  • 被申立人 株式会社あおぞら銀行

準  備  書  面 (2)

2021年7月16日

  • 東京都労働委員会
  • 会長 金 井 康 雄  殿
  • 申立人代理人
  •   弁 護 士  上  条  貞  夫
  •   弁 護 士  金  井  克  仁

Iに対する本件出勤停止処分、低評価、降格処分、配置転換は、不当労働行為である。その本質は、同人の2020年6月7日ホットライン通報以降の労使関係の推移に即して考察するとき、きわめて明瞭となる。

  • 第1出勤停止処分について
  •  1適正なホットライン通報
     被申立人行内の担当者が、一部の相続人および所管部署に遺言公正証書の存在を隠して、同遺言と異なる遺産分割協議書の作成手続きを案内し、その状況をIの直属上司のT課長とN部長が、知りながら放置した。
     この、役職員がコンプライアンス上問題となる業務に関った事態を知ったIは、被申立人の「あおぞらホットライン規定」に基づいて、2020年6月7日、これをホットライン関係者に通報した。
  •  2ホットライン通報に対する、被申立人の異常な対応
     ホットライン通報の1か月後の2020年7月14日、人事部・Eグループ長がIを呼び出して、Iがホットライン通報の数年も前、職場の上司の不始末を注意した件(その上司は後でIに謝罪した)にまで遡り、一部の関係者へ事情聴取を行っただけで、Iが上司や同僚を精神的に困らせたと決めつけた。
     Iは、Eグループ長へ、その事実確認を求めた。しかし、同人らはこれに回答しなかった。しかも、7月28日の面談でEグループ長は、2つの事項(「保険承認に関する事務ミス」「FP営業推進室の業務改善を提言」)を残したまま、具体的に開示を求められても拒否し、Iの行為は人事規則(就業規則)第6章所定の懲戒事由に該当すると告げた。
     このようなEグループ長の行為は、正当なホットライン通報に対する報復であり許されない。Iは、ことの一部始終を、被申立人社長と中立的立場の同僚にメールで訴えた。すると、同日その直後、被申立人K人事部長はIに対し、このような社長に対するメール送信は業務妨害であり繰り返すなら懲戒処分があり得る、と注意通告した。なお、社長に対するメールは、コミュニケーション活性化を目的としたスモールミーティングという役員と従業員の交流の中で、必要に応じて様々な意見を忌憚なくできることになっていた。
     ところで、同「通知書」には、7月28日の再面談のとき「貴殿の主張、弁明を聞く機会を設けました」と記載されているが、前述のとおり7月28日の面談は、人事規則違反であったという一方的な見解の押付けに終始し、なんらIの弁明の機会はなかった。(現に、同年11月6日、第二回団体交渉で、被申立人代理人弁護士は、Iから「7月28日に私が何か弁明したんですか?」との質問に対し、「したかどうか分かりません」と答えている。)
     また、同「通知書」には、「本件の対応窓口は人事部が行うと2回の面談の中でくりかえし伝えた」と書かれていることも、全く事実に反する。
  •  3Iの申立人労組加入、団体交渉における労組の追及
    -被申立人は、まともに答えられず懲戒処分を急いだ-

     正当なホットライン通報に対する組織ぐるみの報復に対して、Iは、その報復に備えるため申立人労組へ加入した。労組は8月13日、団体交渉を請求した。
     同年10月8日、第1回の団体交渉が開催され、7月28日の面談記録の開示、Eグループ長が「懲戒事由に該当」と述べた意味について質疑が行われ、Eグループ長は「懲戒処分とは言っていない。そこは言葉を使い分けていた」と繰り返し述べた。
     同日の団体交渉の最後に、申立人労組は、7月30日付の人事部長「通知書」の撤回と、7月28日の面談記録の開示を、正式に組合要求として求めた。Eグループ長およびコンプライアンス統括部・I氏は「検討します」と繰り返し答えた。
     ところが、同年10月14日、被申立人は、これを理由なく拒否し、次回団体交渉は11月6日と通告した。そのため、申立人労組は、10月26日、抗議文書を送り被申立人社長に対して回答を求めた。すると、被申立人は、次回11月6日の団体交渉を待たず、労組の10月26日抗議文書の4日後である10月30日、Iに対する出勤停止処分を発令した。
     Iは7月28日の面談で、いきなり懲戒事由該当と告げられ、労組から初めての団体交渉で、数年も前の上司に対する言動(その上司は後にIへ謝罪している)が、どうして、いまさら懲戒事由に該当するというのか、問い質した。しかし、被申立人は、まともに答えられず、次回の団体交渉でも懲戒理由と主張する事柄が根拠のないことを、労組から追及されて認めざるを得ないことを、十分予想した。
     だからこそ被申立人は、次回の団体交渉を、10月14日の書面で労組へ約束しながら、Iに対して被申立人の人事規則(就業規則)所定の弁明の機会(第34条5項)も与えず、次回団体交渉を待たず、懲戒処分発令を急いだ。

 以上のとおり、Iの正当なホットライン通報に対して懲戒処分の威圧を加え、この不法な報復に対してIが労組に加入し、労組から初回の団体交渉で懲戒事由該当とする根拠がないことを追及されて答えに窮した被申立人は、次回団体交渉を待たずI組合員に対する懲戒処分を一方的に発令した。かかる懲戒処分は、労働組合法7条1号、同3号に該当する不当労働行為であることは明らかである。

  • 第2低評価、降格、配転処分について
  •  1被申立人の人事考課制度
     被申立人の人事考課は、「目標管理・自己申告」制度によって行われる。まず、期初に業務運営計画が確定した段階で、上司と面談の上、今期の目標を確定する。次に9月末時点で「中間レビユー」を行い、3月末時点の目標進捗度に基づき期末の評価作業を実施する。
  •  2Iに対する人事考課制度の運用
    -被申立人「自作自演」の低評価-

     Iは、2020年6月7日適正なホットライン通報を行った後、2020年度の目標設定(MBO)を上司(Tグループ長)へ申請したところ、6月23日から6月30日までの間、Iの目標設定は、同人より抽象的で曖昧な内容に変更されて、何回も差し戻された(Iは、被申立人に入行から9年間、目標設定が差し戻されたことは一度もなかった)。
     Iは、さらに遺言隠蔽行為の再発防止の観点から「特に問題ある行動については証跡を残す」と記載した目標に修正して、Tグループ長へ返信した。すると、Tグループ長は、記載した部分を理由なく削除した上で、後程電話すると述べた。その後、Tグループ長より電話があり、MBO案の話から遺言隠蔽行為の話になり、Iが問い質したところで、Tグループ長は説明を拒否し一方的に電話を切った。そのため、Iは記録に残すため6月25日直ぐにメールを送った。しかし、Tグループ長は電話に出ず無視し続けた。
     Iはやむを得ず、改めて遺言隠蔽行為の再発防止を踏まえ「各種違反発生0、又は発生したものは再発防止を立案」と記載した目標に修正しCWS(行内人事システム)へ申請した。
     ところが、Tグループ長は、記載した部分を理由なく削除した上で、6月29日、これを「最終とさせて頂く」と一方的に通告してきた。
     Iは、一連のやり取りが、内部通報の問題が表面化されることを嫌気し、それを隠すための嫌がらせと確信した。直ぐに、それぞれの目標に対する不備を指摘し、改めてCWSへ申請した。しかし、Tグループ長は、Iの質問を無視し、Iの申請を受理せず、結果、目標は未設定のままとなった。
     その上7月14日、人事部・Eグループ長との面談の際、Eグループ長はIに対し「いま、MBOの、すり合わせについては、一旦、ストップさせてもらっています」との発言があり、その後、目標設定(MBO)について誰からも指示がなく、2020年度の目標は未設定のまま、『目標管理・自己申告の手引き』に定める「中間レビユー」も行われなかった。
     ところが、その後、2021年3月24日、Iは呼び出され、M副本部長よりMBOシートを手交された。そのシートにはIの設定した覚えのない目標が記載され「自己評価」欄は空白であった。そして、その場でIは2020年度最低評価「1」と告げられた。これに対し申立人労組は、再三にわたり抗議と団体交渉申入れを行ったが、被申立人はこれに応ぜず、2021年4月1日付で、Iに対し、異例の2階級降格、人事部附配転を強行した。
     ところで、被申立人は、同年度の目標については直属上司より2020年6月29日通知済みである、などと言うが、その証拠として被申立人の援用する乙12号証1~9は、遺言隠蔽行為を記録に残すためメールの交換を繰り返し求めているIに対して、記録に残すまいとして四ツ谷本店に来いと言っている上席とのやり取りであって、2020年度の目標設定とは全く関係がないメールである。
  •  3降格の不当労働行為性
    -組合活動に対する徹底的な報復行為-

     被申立人の対応に対して、申立人労組は、処分理由の成り立たないこと、処分の手続きにも重大な不備があることを、第二回団体交渉、第三回団体交渉で問い質した。しかし、被申立人は、第一回から第三回団体交渉で協議されていない多くの項目を残したまま、説明をし尽くしたと述べ、後日回答するとした事柄の一部を無視したまま、次回団体交渉開催を拒否した。
     申立人労組は、処分の手続きに重大な不備があることを詳細に指摘し、懲戒処分の撤回および団体交渉開催を要求した。しかし、被申立人は、2021年1月21、申立人労組の指摘に回答せず、説明をし尽くしていると主張し、団体交渉を拒否した上で、処分撤回もないと通告した。そして、本件を早急に収束させる方向でお願いしたい、と述べた。
     申立人労組は、同年2月16日、早急に収束させる方向とは、いかなることなのか、被申立人に対して提案を促した。これに対して被申立人は、突然、2月24日Iを呼び出し、今期低評価にならざるを得ない、組織再編により、FPグループの業務が引き継がれる新組織へIさんは異動はできない不可能と考えている、4月から専門性を発揮して満足できる職場は提供できないと一方的に告げた。
     次に、4月以降、降格の可能性があると示唆した。そして、仮に降格となると管理職から(2階級降格の)非管理職になり、-20%程度の減給になると結論だけ述べ、今後、Iが会社へ残ったとしても、決して満足いく職場環境を提供できない、と決めつけた。
     被申立人は、Iを精神的に追い詰めたところで、退職勧奨を行い退職条件を通知した。さらに、その翌25日、被申立人は、収束させる方向とは、始末書を提出するようにという趣旨だと述べてきた。申立人労組は、被申立人の「収束する方向でお願いしたい」とは、組合活動を活発化させるなら徹底的に報復する、それが嫌なら会社の意を汲んだ始末書を提出して処分を受け入れろ、と脅迫的な意図であると受け止めた。
     申立人労組は再び抗議し、懲戒理由の不合理を全面的に解明し、被申立人に対して争議解決のため団体交渉を求めた。これに対して被申立人は、労組抜きの個別交渉で、ことを運ぼうと画策した上で、3月24日改めてIを個別に呼び出し、一方的に、前述の低評価に加え、降格および人事部附の内示を行った。申立人労組は、同月29日、労働委員会へ救済申立てを行った。これに対して被申立人は、申立人労組との協議に一切応じることなく、同年4月1日、Iに対し、降格、人事部附を発令したことから、労組は、同委員会へ追加救済申立てを行った。
     なお、いつ、いかなる所為が2階級降格の理由とされたのか、裏付ける具体的事実は、一切、主張がなかった。
  •  4配転処分の不当労働行為性
    -島流し同然の見せしめ隔離人事-

     前述のとおり、被申立人は、労組との協議に応じることなく同年4月1日、Iに対し人事部附を発令した。
     人事部・K担当部長は、4月2日、Iに対して新給与通知書を手交した。それには内示の際に記載されていた俸給ではく、降格前と比べ20%以上減給された俸給が記載されていた。
     K担当部長は、Iに対して、勤務時間は、基本的に定時までとし、残業はなしと指示した。また、週3日は出社、週2日は在宅勤務を基本的な勤務形態として、出社時は、同人へ勤務開始のメールを通知し、終日来客用応接の1512号室で業務を行い、勤務終了時にもメールで通知して帰宅するよう指示した。そして、今のところどこにも配属できない、と結論だけ述べた。さらに、後日、私物はすべて自宅へ持ち帰るように、とIへ命じ、Iの私物保管場所もなくなった(Iは、被申立人に入行から今まで、私物保管場所のない環境はなかった)。
     業務内容は、同人より与えられたテーマに対して、レポートを作成する業務であった。レポート作成にあたり、本来であれば現状把握や課題抽出のため関連部署へのヒアリング、打合せなどを行うが、実態は、出勤時に従業員フロアへ一切入れず、来客用応接室へ終日1人だけ配置し、業務上で同僚と接する機会を設けず閉じ込めている。また、在宅勤務時においても従業員との交流を断ち切り、終日レポート作成業務を行わせている。これらは、極めて典型的な「人間関係からの切り離し」であり、島流し同然の見せしめ隔離人事である。

 以上、懲戒処分から、低評価・降格・配転に至る間の、労使関係の推移を直視すれば、本件低評価・降格・配転の不当労働行為性は極めて明瞭となる。かかる被申立人の、懲戒処分・低評価・降格・配転の一連の行為は、労働組合法7条1号、同3号に該当する不当労働行為であることは明らかである。

以 上